2008年12月16日
山形県梵字川小沢(2008.9.20~21)
08 渓納 朝日にて・・・ 2008年9月20日~21日 山形県梵字川小沢

この釣行は今期最終釣行となる。行き先は梵字川支流小沢。
最終釣行を普通我々は納竿と呼ぶ。けれどシーズンを通して釣りと言うよりも渓を楽しむ我々には本当なら「渓納」という言葉こそ似合う。「山菜やキノコがあるではないか!」という声も聞かれそうだが、それは渓を知らない者が言うことである。水に親しみ岩魚を追うからこそ我々の渓はあるのだ。山菜やキノコ探しでまみえる流れとはまた違う意味を持つものなのだ。
本当なら「黒部川最初の一滴」を拝みに行く筈だった。幸か不幸か仕事が忙しくなってしまい最低でも3泊は必要な黒部川源流には遠く及ばない休暇となってしまった。どう繰り合わせてみても1泊がいいところの私に「小沢にしましょう、隊長でも大丈夫ですよ。」とメールが届いた。メールの相手は小峰吐渓さんである。
小峰さんとは7年越しで渓泊まりが実現していない間柄である。いや、清掃山行で奥鬼怒川湯沢には行っているが、あれは釣りでも渓遡行でもない「ゴミ拾い」というイベントだった。春先に「黒部源流に連れて行くから日程を決めろ。」と言われて自分で決めた日程に自分が撃沈した今回、優しくも1泊で再調整してくれた吐渓さんである。
小沢という渓は私自身には馴染みは無いがかなりの頻度で耳にしていた渓である。「新源流紀行」の取材で清水孝が挙げていたし、渓道楽のナベちゃんやたかさんから入渓したとかしないとか・・・と耳にしていた渓だ。自分が行くに当ってそれぞれに様子を聞いてみたら、結局まだ誰も行っていなかった。(笑)
未知の渓に不安を抱きつつも隊長と現地に向かう。山形道月山ICに午前4時集合予定に3時間以上も早く到着しそうな時間帯に吐渓さんから具体的な待ち合わせの場所を示すメールが届いた。月山IC手前の月山PAで時間調整も兼ねて仮眠を取ってから行くと返事を送ると「もう現地にいるから来い!」という返事が来た。早めに着いて仮眠を取るという考えは誰もが同じなのだろうかと待ち合わせ場所に急いだ。
指定された場所に到着すると酒田のじっちゃんの車が停まっている。しかし問題はその横にある車である。
「ん、他に誰かいる?」
車を停めて挨拶に顔を出すと何と仙台の森さんである。いや~、これにはビックリと言うか嬉しかった。森さんとは今年の春に吐渓さん主催の新年会に向かう為に宇都宮で出迎え沼田まで車中ご一緒して以来の再会だ。もちろん渓で一緒になるのは初めて。瀬畑翁の「魚止めの滝」シリーズで翁のパートナーを勤めていた森さんを憧れの眼で見ていた私である。「お兄ちゃんは?」と挨拶も早々に隊長のことを気にして聞いてくれる心優しい森さんである。
周囲が明るくなるのを待ち入渓の着替えを済ませて車止めまで移動する。車を降りて足回りの支度をしている私の傍に森さんが寄って来て「あそこに特徴のある木、覚えておいて。」と入渓点の特徴を説明してくれる。

この釣行は今期最終釣行となる。行き先は梵字川支流小沢。
最終釣行を普通我々は納竿と呼ぶ。けれどシーズンを通して釣りと言うよりも渓を楽しむ我々には本当なら「渓納」という言葉こそ似合う。「山菜やキノコがあるではないか!」という声も聞かれそうだが、それは渓を知らない者が言うことである。水に親しみ岩魚を追うからこそ我々の渓はあるのだ。山菜やキノコ探しでまみえる流れとはまた違う意味を持つものなのだ。
本当なら「黒部川最初の一滴」を拝みに行く筈だった。幸か不幸か仕事が忙しくなってしまい最低でも3泊は必要な黒部川源流には遠く及ばない休暇となってしまった。どう繰り合わせてみても1泊がいいところの私に「小沢にしましょう、隊長でも大丈夫ですよ。」とメールが届いた。メールの相手は小峰吐渓さんである。
小峰さんとは7年越しで渓泊まりが実現していない間柄である。いや、清掃山行で奥鬼怒川湯沢には行っているが、あれは釣りでも渓遡行でもない「ゴミ拾い」というイベントだった。春先に「黒部源流に連れて行くから日程を決めろ。」と言われて自分で決めた日程に自分が撃沈した今回、優しくも1泊で再調整してくれた吐渓さんである。
小沢という渓は私自身には馴染みは無いがかなりの頻度で耳にしていた渓である。「新源流紀行」の取材で清水孝が挙げていたし、渓道楽のナベちゃんやたかさんから入渓したとかしないとか・・・と耳にしていた渓だ。自分が行くに当ってそれぞれに様子を聞いてみたら、結局まだ誰も行っていなかった。(笑)
未知の渓に不安を抱きつつも隊長と現地に向かう。山形道月山ICに午前4時集合予定に3時間以上も早く到着しそうな時間帯に吐渓さんから具体的な待ち合わせの場所を示すメールが届いた。月山IC手前の月山PAで時間調整も兼ねて仮眠を取ってから行くと返事を送ると「もう現地にいるから来い!」という返事が来た。早めに着いて仮眠を取るという考えは誰もが同じなのだろうかと待ち合わせ場所に急いだ。
指定された場所に到着すると酒田のじっちゃんの車が停まっている。しかし問題はその横にある車である。
「ん、他に誰かいる?」
車を停めて挨拶に顔を出すと何と仙台の森さんである。いや~、これにはビックリと言うか嬉しかった。森さんとは今年の春に吐渓さん主催の新年会に向かう為に宇都宮で出迎え沼田まで車中ご一緒して以来の再会だ。もちろん渓で一緒になるのは初めて。瀬畑翁の「魚止めの滝」シリーズで翁のパートナーを勤めていた森さんを憧れの眼で見ていた私である。「お兄ちゃんは?」と挨拶も早々に隊長のことを気にして聞いてくれる心優しい森さんである。
周囲が明るくなるのを待ち入渓の着替えを済ませて車止めまで移動する。車を降りて足回りの支度をしている私の傍に森さんが寄って来て「あそこに特徴のある木、覚えておいて。」と入渓点の特徴を説明してくれる。
さて、今回のメンバーをあらためて紹介する。
小峰吐渓さん、吉田よしみさん、森辰雄さん、酒田秀夫さんと私たち親子。
森さんは前週の渓行きが祟って今回は日帰りでの参加。それは前週、やはり吐渓さんらと赴いた釣行先の三面川で、まだ往路の途中だというのにザックを斜面から谷底に落としてしまい、その捜索に数日間仕事を休んでしまったと言う。首尾よくザックを探し当てたのは良いが、数日間の臨時休暇が祟り、さすがの渓の猛者も「今回はダメ!」と厳しく言う奥さんから「一日だけ・・・」という約束で無理矢理お許しを得て来たとの事である。
斜面の急下降を経て梵字川本流に下る。本流は悪水を含んで白濁している。本流を徒渉して対岸に渡り200~300m下流から対岸の斜面に取り付く。急下降を経て急登を繰り返す尾根越えのルートである。
斜面を登り着き平坦な地形に入る。森さんはここから山の巡回に向かうため別行動となる。後刻テン場で落ち合う予定だ。我々はそのまま平地を抜けて再び斜面を下降して小沢の流れを踏む。
渇水気味の流れを上流に進みテン場に到着。
「おぎんちゃんどう、ルート大丈夫だろ?ここなら隊長でも楽々来れるだろ。」
吐渓さんに聞かれて隊長を振り返ると結構余裕の表情をしている。それもその筈でテン場に落ち着いた第一声が「帰ろうよ。」である。直接的に言えば「日帰りしよう!」と言っている事になるわけで、それくらいに余裕があるということだ。まあ、最終釣行を日帰りじゃ焚き火も出来ないし釣りも忙しいので即座に却下とする。
テン場に落ち着くと尻に根が生えてしまう昨今であるが、今回は釣り好きのよしみさんがいる。「釣りに行きましょうよ!」の一言で全員釣り仕度に取り掛かる。いやいや、吐渓さんだけは「俺はここにいる!」と言い張っている。しかし「みんなで釣りに行こう!」と言うよしみさんに押し切られて渋々身支度を始める。まあ、あの巨体を口先だけで動かせるのはよしみさんしかいないであろう。

今回は他の全員がテンカラという事で我がチームは意図的にエサで勝負。簡単に言えばテンカラじゃ我々など相手にならないと言うこと。でも隊長には「絶対にエサじゃなきゃダメな場面が来るからね。」と言って竿を預ける。
釣り始めて早々によしみさんのテンカラに岩魚が反応する。渇水気味の流れはテンカラ有利であるが、エサの隊長も頑張って竿を振っている。よしみさんや吐渓さんが釣りの指導をしてくれる中で、隊長の竿さばきも徐々に安定して来る。
今日の昼は私のリクエストでよしみさん特製「岩魚カツサンド」の予定。それにはカツとなる岩魚が必要な訳で、「自分の食材は自分で釣ること!」とよしみさんからキツく言われている。「隊長、頑張って二匹釣ってね。」
隊長の竿に待望のアタリ。しかし気の優しい隊長はアワセも優しくハリはすっぽ抜けて岩魚にも優しい釣りとなる。「もう少し明確にアワセる事!」と私から課題を出す。よしみさん、吐渓さんと次々にテンカラを振り込むが反応が出ない様で隊長にお呼びが掛る。隊長がエサ仕掛けを落ち込みに振り込む。すぐさまアタリが来て見事に岩魚を1匹釣り上げた。
岩魚をキープしてよしみさんに手渡すと、振り向き様に隊長は「僕のカツサンドはこれで大丈夫だから。」と言ってニヤリと笑った。
「おいおい、お父さんのは?」
「自分で釣れば!」
「はぁ?」
「頑張ってね!」
竿を手渡されてしまった私は仕方なく自分の食材確保に奔走する事に・・・

ポイントを真面目に探るがかなり渋い。水が少ない分、釣りは難しくなっている。そうは言っても隊長にも釣れているのだから言い訳にはならない。手前から丁寧に探りを入れてようやく岩魚をハリに掛ける事に成功。食材確保で一安心である。
「ここが朝日の黒ビンガと呼ばれる場所だよ。」と吐渓さんが指を差す先を見る。右岸側の壁が見事に切り立って続いていて壮観な眺めだ。黒部川上の廊下の黒ビンガを知らない私は単純にここの眺めで満足してしまった。
腹が減った様子の隊長の気配をいち早く察した吐渓さんが昼食の場所を探しに先行して行った。適当な岩場を選んでザックを下ろし昼食の支度を始める。よしみさんが岩魚をさばいてフライに揚げて行く傍らでじっちゃんがラーメンを作る。ラーメンスープには岩魚のアラを一度煮込んで出汁を取る凝りようだ。
さて、次々と揚げられる岩魚フライをレタスを敷いた食パンに乗せてソースをかける。これが噂に聞いていたよしみさん特製の「岩魚カツサンド」である、かなりの絶品!
隊長もお気に入りと見えて次から次に3つも平らげている。もちろんラーメンも一緒にだ。隊長の胃袋は底無しだと評判ではあるが、今日も絶好調の様子に親として一安心である。(笑)
昼食を済ませると空模様が怪しくなって来た。森さんもそろそろテン場に来そうな時刻なので釣りを切り上げてテン場へと戻る事にする。下流に向かって歩きながらも感じるのは岩が滑る事。小沢の岩は滑るから気を付ける様にとよしみさんに言われていたのを思い出して慎重に歩く。でも2回くらい転んだかな・・・。(笑)
下流を見ると森さんが焚き木を担いで斜面に消えて行く姿が見える。テン場に到着である。テン場に上がると沢山の焚き木を前に森さんが座っている。隊長が自力で岩魚を釣り上げたと報告すると「良かったねぇ!」と本当に嬉しそうに喜んでくれた。
全員揃ったところで乾杯!

森さんの巡回報告に花が咲く。「今年はまだ早くて、ダメだっちゃ!」と言いながらも笑顔で差し出す袋には小さいながらも獲物が収まっている。「今夜食べなよ。」とテン場の食材として置いて行ってくれると言う。午後3時を回った頃に「じゃあ、もう一廻りしながら帰るっちゃ!」と腰を上げた森さん。「じゃあまた!」と手を振ったと思ったら、もう河原を走るように下り、向かいの森に消えて行ってしまった。
さて、この後は怒涛の焚き火宴会となって行く。ビールに焼酎、ウイスキー、何を食ったか記憶にないくらい飲んでは語り合う。確か手巻き寿司を食べた気がするのですが・・・。
遡行記としては以上の様な内容ですが、翌朝は雨の音に起こされ朝食後にテン場を撤収。小沢の流れは何ともなかったのですが、梵字川本流は白濁した水が増水気味で川底が見えない状態の徒渉をスクラムで渡り事なきを得た。やはり徒渉を伴う釣行に雨は要注意である。
今回特筆するのは共同装備の分担である。
タープ、バーナー、コッヘル、食材、これらを共同装備として一括管理、分担して担ぐ。これは私や私の仲間たちには無いやり方、と言うか川上さんとの釣行スタイルとは全く違う形である。いや、本当なら川上さんもそうなのかも知れないが、我々若手への川上さんの教習の第一は「担げること」だったから、あえて全員に同じ物を担がせたのだろうと思う。担げてこそ成り立つ遊びだからだ。
しかしこの分担方式、正直言って楽であり荷物も減る。今回私は初めてビリー缶を持たずに来た。共同装備としてはタープと食材を担当。食材だって私一人では無くそれぞれに分担されている。それが出来るのもあらかじめのメニューの決定があるからなのだが、極力使わない物は持ち込まないというのが吐渓さんのやり方だ。
ひとつひとつ勉強して行く。どれが正解なのかは自分で決めればいい。遡行が厳しい渓もあれば、テン場を楽しむ渓もある。その時々で選択出来る戦術は多ければ多いほど有利である。それを自分のものとして消化出来るか出来ないかは今後の自分に掛っているとは言え、川上さん、瀬畑さん、中尾さん、吐渓さん、それぞれからとことん学べる私や隊長はとても幸せ者である事だけは確かである。
今年の渓流シーズンも良い渓あるきで締めくくる事が出来た事に親子共々、感謝しています。

2008年9月21日 朝日連峰 梵字川支流小沢にて渓納
小峰吐渓さん、吉田よしみさん、森辰雄さん、酒田秀夫さんと私たち親子。
森さんは前週の渓行きが祟って今回は日帰りでの参加。それは前週、やはり吐渓さんらと赴いた釣行先の三面川で、まだ往路の途中だというのにザックを斜面から谷底に落としてしまい、その捜索に数日間仕事を休んでしまったと言う。首尾よくザックを探し当てたのは良いが、数日間の臨時休暇が祟り、さすがの渓の猛者も「今回はダメ!」と厳しく言う奥さんから「一日だけ・・・」という約束で無理矢理お許しを得て来たとの事である。
斜面の急下降を経て梵字川本流に下る。本流は悪水を含んで白濁している。本流を徒渉して対岸に渡り200~300m下流から対岸の斜面に取り付く。急下降を経て急登を繰り返す尾根越えのルートである。
斜面を登り着き平坦な地形に入る。森さんはここから山の巡回に向かうため別行動となる。後刻テン場で落ち合う予定だ。我々はそのまま平地を抜けて再び斜面を下降して小沢の流れを踏む。
渇水気味の流れを上流に進みテン場に到着。
「おぎんちゃんどう、ルート大丈夫だろ?ここなら隊長でも楽々来れるだろ。」
吐渓さんに聞かれて隊長を振り返ると結構余裕の表情をしている。それもその筈でテン場に落ち着いた第一声が「帰ろうよ。」である。直接的に言えば「日帰りしよう!」と言っている事になるわけで、それくらいに余裕があるということだ。まあ、最終釣行を日帰りじゃ焚き火も出来ないし釣りも忙しいので即座に却下とする。
テン場に落ち着くと尻に根が生えてしまう昨今であるが、今回は釣り好きのよしみさんがいる。「釣りに行きましょうよ!」の一言で全員釣り仕度に取り掛かる。いやいや、吐渓さんだけは「俺はここにいる!」と言い張っている。しかし「みんなで釣りに行こう!」と言うよしみさんに押し切られて渋々身支度を始める。まあ、あの巨体を口先だけで動かせるのはよしみさんしかいないであろう。

今回は他の全員がテンカラという事で我がチームは意図的にエサで勝負。簡単に言えばテンカラじゃ我々など相手にならないと言うこと。でも隊長には「絶対にエサじゃなきゃダメな場面が来るからね。」と言って竿を預ける。
釣り始めて早々によしみさんのテンカラに岩魚が反応する。渇水気味の流れはテンカラ有利であるが、エサの隊長も頑張って竿を振っている。よしみさんや吐渓さんが釣りの指導をしてくれる中で、隊長の竿さばきも徐々に安定して来る。
今日の昼は私のリクエストでよしみさん特製「岩魚カツサンド」の予定。それにはカツとなる岩魚が必要な訳で、「自分の食材は自分で釣ること!」とよしみさんからキツく言われている。「隊長、頑張って二匹釣ってね。」
隊長の竿に待望のアタリ。しかし気の優しい隊長はアワセも優しくハリはすっぽ抜けて岩魚にも優しい釣りとなる。「もう少し明確にアワセる事!」と私から課題を出す。よしみさん、吐渓さんと次々にテンカラを振り込むが反応が出ない様で隊長にお呼びが掛る。隊長がエサ仕掛けを落ち込みに振り込む。すぐさまアタリが来て見事に岩魚を1匹釣り上げた。
岩魚をキープしてよしみさんに手渡すと、振り向き様に隊長は「僕のカツサンドはこれで大丈夫だから。」と言ってニヤリと笑った。
「おいおい、お父さんのは?」
「自分で釣れば!」
「はぁ?」
「頑張ってね!」
竿を手渡されてしまった私は仕方なく自分の食材確保に奔走する事に・・・

ポイントを真面目に探るがかなり渋い。水が少ない分、釣りは難しくなっている。そうは言っても隊長にも釣れているのだから言い訳にはならない。手前から丁寧に探りを入れてようやく岩魚をハリに掛ける事に成功。食材確保で一安心である。
「ここが朝日の黒ビンガと呼ばれる場所だよ。」と吐渓さんが指を差す先を見る。右岸側の壁が見事に切り立って続いていて壮観な眺めだ。黒部川上の廊下の黒ビンガを知らない私は単純にここの眺めで満足してしまった。
腹が減った様子の隊長の気配をいち早く察した吐渓さんが昼食の場所を探しに先行して行った。適当な岩場を選んでザックを下ろし昼食の支度を始める。よしみさんが岩魚をさばいてフライに揚げて行く傍らでじっちゃんがラーメンを作る。ラーメンスープには岩魚のアラを一度煮込んで出汁を取る凝りようだ。
さて、次々と揚げられる岩魚フライをレタスを敷いた食パンに乗せてソースをかける。これが噂に聞いていたよしみさん特製の「岩魚カツサンド」である、かなりの絶品!
隊長もお気に入りと見えて次から次に3つも平らげている。もちろんラーメンも一緒にだ。隊長の胃袋は底無しだと評判ではあるが、今日も絶好調の様子に親として一安心である。(笑)
昼食を済ませると空模様が怪しくなって来た。森さんもそろそろテン場に来そうな時刻なので釣りを切り上げてテン場へと戻る事にする。下流に向かって歩きながらも感じるのは岩が滑る事。小沢の岩は滑るから気を付ける様にとよしみさんに言われていたのを思い出して慎重に歩く。でも2回くらい転んだかな・・・。(笑)
下流を見ると森さんが焚き木を担いで斜面に消えて行く姿が見える。テン場に到着である。テン場に上がると沢山の焚き木を前に森さんが座っている。隊長が自力で岩魚を釣り上げたと報告すると「良かったねぇ!」と本当に嬉しそうに喜んでくれた。
全員揃ったところで乾杯!

森さんの巡回報告に花が咲く。「今年はまだ早くて、ダメだっちゃ!」と言いながらも笑顔で差し出す袋には小さいながらも獲物が収まっている。「今夜食べなよ。」とテン場の食材として置いて行ってくれると言う。午後3時を回った頃に「じゃあ、もう一廻りしながら帰るっちゃ!」と腰を上げた森さん。「じゃあまた!」と手を振ったと思ったら、もう河原を走るように下り、向かいの森に消えて行ってしまった。
さて、この後は怒涛の焚き火宴会となって行く。ビールに焼酎、ウイスキー、何を食ったか記憶にないくらい飲んでは語り合う。確か手巻き寿司を食べた気がするのですが・・・。
遡行記としては以上の様な内容ですが、翌朝は雨の音に起こされ朝食後にテン場を撤収。小沢の流れは何ともなかったのですが、梵字川本流は白濁した水が増水気味で川底が見えない状態の徒渉をスクラムで渡り事なきを得た。やはり徒渉を伴う釣行に雨は要注意である。
今回特筆するのは共同装備の分担である。
タープ、バーナー、コッヘル、食材、これらを共同装備として一括管理、分担して担ぐ。これは私や私の仲間たちには無いやり方、と言うか川上さんとの釣行スタイルとは全く違う形である。いや、本当なら川上さんもそうなのかも知れないが、我々若手への川上さんの教習の第一は「担げること」だったから、あえて全員に同じ物を担がせたのだろうと思う。担げてこそ成り立つ遊びだからだ。
しかしこの分担方式、正直言って楽であり荷物も減る。今回私は初めてビリー缶を持たずに来た。共同装備としてはタープと食材を担当。食材だって私一人では無くそれぞれに分担されている。それが出来るのもあらかじめのメニューの決定があるからなのだが、極力使わない物は持ち込まないというのが吐渓さんのやり方だ。
ひとつひとつ勉強して行く。どれが正解なのかは自分で決めればいい。遡行が厳しい渓もあれば、テン場を楽しむ渓もある。その時々で選択出来る戦術は多ければ多いほど有利である。それを自分のものとして消化出来るか出来ないかは今後の自分に掛っているとは言え、川上さん、瀬畑さん、中尾さん、吐渓さん、それぞれからとことん学べる私や隊長はとても幸せ者である事だけは確かである。
今年の渓流シーズンも良い渓あるきで締めくくる事が出来た事に親子共々、感謝しています。

2008年9月21日 朝日連峰 梵字川支流小沢にて渓納
タグ :釣行記
Posted by 副隊長 at 07:01│Comments(1)
│遡行記
この記事へのコメント
ようするに鑑札を買わずに密漁したんですね。
Posted by 鑑札は? at 2008年12月16日 08:16
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