2008年04月11日
厳しいフィールド
もう5年も前の話になる。
当時は4月の声を聞くと釣り竿を担いで出掛けたものだった。行先は丁度渓流釣り解禁を迎えて間もない時期の栃木県奥鬼怒川源流部だ。
渓筋にはまだまだ雪が残り、流れる水は身を切るように冷たい。
そんな流れから踊り出すイワナもまだまだサビが残る。綺麗な魚体を見せてくれるのはまだひと月くらい先の話だ。
でも、いち早く天然イワナを見たくて早春の渓へ足を運んだ。まだまだ釣りバカだったから解禁となると飛んで行ったのだ。
林道脇の残雪からフキノトウが顔を出し遅い春の訪れを告げていた。
イワナとのやり取りを楽しみながら渓を歩く。
上流に向かい大岩を越えたところで思いがけない場面に出会う事になった。冒頭の写真がそうだ。
小さいから何が何やら判らないだろうからズームアップ。
雪解けの水が白く濁り、怒涛の様に流れる深場に一頭のカモシカが肩まで水に浸かりこちらの様子を窺っていた。
いやいや、最初はそう見えたのだが、実は私を悲しげな目で見詰めていたのだ。
身を切るような流れは大自然に生きるカモシカにとっても同じ。深場に嵌り流れに押されて立つ事さえ精一杯で既に下流に身体が傾き出している。
「助けて」
多分、人間ならばそう叫んでいた事だろう。
やがて大きく揺れたかと思うと雪代に揉まれるように消えてしまった。
大自然の厳しさ
私たちの遊ぶフィールドはこんな厳しい一面も持ち合わせているのだ。
Posted by 副隊長 at 00:00│Comments(0)
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